80対20の法則を応用した組織改革時のリソース運用

パレートの法則(80:20の法則)の亜種で、働きアリに関する法則というものがあります。これは2-6-2の法則ともいいます。

働きアリの法則  

・働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。

・働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。

・よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。

・よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。

・よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。

・サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。

働くアリと働かないアリの差は「腰の重さ」

アリの前に仕事が現れた時、まず最も閾値の低い(腰の軽い)アリが働き始め、次の仕事が現れた時には次に閾値の低いアリが働く、と言う形で、仕事の分担がなされている。仕事が増えたり、最初から働いていたアリが疲れて休むなどして仕事が回ってくると、それまで仕事をしていなかった閾値の高い(腰の重い)アリが代わりに働きだす。

「疲労」というものが存在する以上、一見サボっているように見えるアリの存在が、コロニーの存続に大きな役割を果たしている。仮に全てアリが同じ閾値だと、すべてのアリが同時に働き始め、短期的には仕事の能率が上がるが、結果として全てのアリが同時に疲れて休むため、長期的には仕事が滞ってコロニーが存続できなくなることがコンピュータシミュレーションの結果から確認されている。閾値によっては一生ほとんど働かない結果となるアリもいるが、そのようなアリがいる一見非効率なシステムがコロニーの存続には必要だという。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

人とありの根本的な違い

自然現象や社会現象など様々な事例に、この80対20の法則が当てはまるそうです。

会社組織に当てはめて考えてみても同じで、優秀な人材を採用したら同じ人数の役割が代わり、誰かが押し出されるだけで、全体の比率は変わりません。

しかし、人はありと根本的な違いがあります。それは業務遂行能力において、人は均一ではないことです。ありは本能で動いているので、絶対的な体力以外は均一です。

人は、新人が代わりのポジションに座っても、前任者と同じレベルまで仕事の質を上げるには時間がかかります。

大きく組織を変える前には、臨時の増員が必要ですが、普段からギリギリの人員なのに、そんな増員は不可能です。

法則を応用した、組織改革前に準備しておくリソース運用案

 組織改革時には、従来の業務を止めずに新しい体制に変えていくのですから、組織内の業務がごちゃごちゃします。

この時の緊急的リソース運用案について、80対20の法則を応用すると、下記のような策が挙げられます。③が一番うまく行きそうな気がします。

①業務の優先付けをして、上位2割のみ遅滞なく遂行する

利益と言う点では上位2割の業務で8割の利益なので、とりあえず優先度上位2割の業務を遅滞なく遂行できる体制を作る。

その他の業務は少ない人員で必要最低限の仕事しかしないように見直していく、というのはどうでしょうか?

これだけ聞くと、そんなこと出来るわけない、と言われそうですが、意外と、なくてもいいデータ管理とかあるのではないでしょうか?

②優秀者上位2割の人に仕切ってもらい、残り8割の人は指示に従う

きっちり完璧な仕事をやりたがる人が多いので、仕事が出来て要領のいい人に仕切ってもらいます。緊急事態だからという理由で文句のある人は辛抱してもらうしかありません。

③優秀者2割で組織横断的部隊を作り、サポートする

業務内容によりますが、少数の精鋭部隊を作り、サポートします。サポート部隊が人間的に横柄でなければ、特にマイナス点はないように思います。

常に柔軟な組織運用でスタンバイ要員を確保しておくことが重要

組織改革時でなくても、常に柔軟な組織運用ができるように、どこの部署に行っても仕事が出来るようにしておくのが理想ですが、実際は属人化した業務が多く、引き継ぎは困難な状況です。

働きアリの法則から考えると、出来る人の比率は同じなので、組織全体の水準を上げていくことがもっとも組織力アップの最も効果的な方法と思います。

そのためには組織全体で一番力の弱い部分を補強することが効果的です。

一番弱い部分の補強をするために、意図的にその業務をローテーションで全員が経験するとか、単純な業務は手順書化し、可視化出来ない部分を熟練者から順番に指導してもらうという方法が現実的です。とにかく、実行あるのみです。

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