ティール組織が画期的なパフォーマンスを引き起こす要因

画期的なパフォーマンスを引き起こす要因は何なのでしょうか?

ティール組織という目新しい言葉や組織形態に興味を持たれて書籍を読まれても「社員が全員同等の権限を持つ」、「管理職やスタッフ組織を無くす」といった内容に戸惑い、実現不可能と思われた方も多いと思います。例え組織オーナーがその気になっても、あまりにもやることや課題が多すぎて、第一歩を踏み出せないでしょう。

ただ、それで諦めきれるのなら、それは本当に自分のやりたかったことではなかったのでしょう。もし、「何としてでもティール組織を実現したい」「これこそが自分の求めてきた環境だ」と思われる方は、諦めずに自分の信じた道を進まれるべきです。良い実現方法があります。

ティール組織が画期的なパフォーマンスを引き起こす要因を明確にし、オレンジ組織に応用する方法を検討することで、できるだけ従来の組織形態のままで、周囲に波風立てずに賛同してくれ易い方法を思いつく可能性があります。

ティール組織の必要条件

まず、ティール組織をつくるときの必要条件は下記の2つです。

①経営トップが、ティール型の世界観を養い、精神的な発達を遂げていなければならない

②組織オーナーが、ティール型の世界観を理解し、受け入れていなければならない

取締役会は「理解できなくても」、ティール型のリーダーが圧倒的な実績を示すと一時的にすべてを任せる場合もある。ところが景気が悪くなったり極めて重要な選択に迫られたりすると、自分の目に合理的と映る方法(トップダウンの上意下達式の命令や仕組み)だけで状況を統制したがる。

つまり、経営トップがいくら頑張っても、取締役会のメンバーが断固反対すれば諦めざるを得ないのです。ましてや、中間管理職が純粋な気持ちで寄り集まってティール組織を導入しようとしても、時間の無駄です。

但し、この必要条件は、「ティール組織」という社員が自律的に活動し、自由に権限を行使できる活動の場を管理維持するために必要な条件なのです。その理想的なティール組織と周囲を取り巻くオレンジ組織の外界を隔て、社員を守る隔壁となります。

この隔壁があるからこそ、その中を自由に社員が行動し、挑戦し、失敗することができます。

隔壁がなくても、自由に動けるようにするには、オレンジ組織の慣行の中に、ティール組織の慣行を入れていけばいいのです。そうすれば、ティール組織ほど完璧ではないかもしれませんが、オレンジ組織の進化した組織となります。

ティール組織のメリットを説明してもピンとこない人を説得することは無理です。オレンジのレンズで景色を見る人をいくら説得しても無理やりティールのレンズに替えることはできません。そういう人には、オレンジのレンズで見て興味をそそる成果で説明するしかないのです。

但し、オレンジとティールのレンズの違いにより、時には違和感を感じる采配になることは覚悟しないといけません。目に見える合理性だけで判断するオレンジの慣行の人達を説得するのは難しく、

「この方法が正しいと思うから」「この方法が好きだから」と正直な気持ちを言っても無駄なので、何か理由を探す必要があります。分かりやすく目に見える、目先の効率とかで説得するしかありません。

時間をかけてティールのレンズを持つ仲間を集めていき、人を入れ替え、違和感を感じる部分をティールの慣行で維持できるようメンテナンスすることが大切です。

パフォーマンスを引き起こす要因(その1)

ティール組織の特徴である、3つの突破口(ブレークスルー)に沿って要因を考えてみます。

まず、3つの突破口(ブレークスルー)を説明します。

①自主経営: 階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性のなかで自ら動くシステムであること。

②全体性: オレンジ組織では、職場に行くときには狭い「専門家」としての仮面をかぶり、自分の顔は隠して行動することを期待している。合理性がすべてで、情緒的、直観的、精神的な部分は歓迎されない。しかし、ティール組織は自分をさらけ出して職場に行ける。合理性より優先するものを認めている。

③存在目的:オレンジ組織は将来を予言し、統制しようとする。ティール組織はそれ自身の生命と方向感を持っている。社員は、組織がどうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け、理解して行動する。数年先の事業戦略などは存在しない。

書籍「ティール組織」では、成果を上げられる理由を下記のように説明しています。

本書で調べたパイオニア組織があれだけの成果を上げられる理由をどう説明すればよいのだろう?

ティール組織の3つのブレイクスルーに焦点を当てて説明することは簡単だ。

①トップの数人ではなく、全員が権限を握っていれば組織としての力が何倍にもなる(自主経営)

②人々が自分らしさを失わずに職場に来るので、権限の使い方に知恵が絞られている(全体性)

③社員の権限と知恵が組織の生命力と一致すると、なぜか物事がうまく運ぶ(存在目的)

「ティール組織」英治出版 第Ⅲ部 第4章 成果 P482~より

①全員に権限を分散する

一人の頭脳で組織を動かすより、権限が分散し、全員が自由に動ける状態の方が良いに決まっています。

社員にとっては、いいアイデアが思いついても権限がないため、上司の判断を仰ぐ説明や資料作成や会議の労力や浪費する時間を考えると、敢えて動こうとしないで埋もれてしまったケースがどれだけあるのでしょうか?

権限悪用の危険性を懸念されると思いますが、パイオニア企業の事例によると、実際に起こったトラブルの件数や被害額は、時間の節約や成果と比べてはるかに少ないものです。

②自分らしさを失わない

ピラミッド組織の慣行や上司からの指示は、意図しなくても社員のやる気を削ぐことにしかなりません。それば例え成果報酬として金銭的報酬や昇進があったとしても、心から欲する人は稀だと思います。人は自分で考え自由に行動することで生き甲斐を感じ、本当のモチベーションが湧き出るものだからです。

③社員の権限と知恵が組織の生命力と一致する

組織の生命力とは、社員全員の集合体としての意思や職場の空気感、風土といったものです。絵にかいた餅的事業計画を作り一人のリーダーが進むべき未来を指示しても、現在の組織が十分に機能していなければ健全な一歩は踏み出せないのです。今の社員全員が仮面を捨て、本来の自分のままで日常を楽しむことが出来れば、組織は機能し始め社員の潜在能力を引き出すことで成果は自然と出ます。

目指す未来も、日々の活動の延長線上として自然に見えてきます。

パフォーマンスを引き出す(その2)

パフォーマンスを引き出す要因を、エネルギーから考えてみます。

ティール組織の慣行のおかげで、それまでは抑圧され利用できなかった爆発的なエネルギーが解放されます。そして、さらにそのエネルギーに明確な方向性と知恵がついて、その結果、生産性が向上します。

それまでのモデルでは使われなかったエネルギーを開放する

▶存在目的を通じてー人々が自分よりも大きな目的を心から理解すると、個々のエネルギーが高まる。

▶権限の分散を通じてー自主経営は恐ろしいほどのモチベーションとエネルギーをつくりだす。上司のために働くことをやめ、内在的基準に照らして働き始めるのだが、実はこちらの方が目指す水準も要求も高くなることが普通である。

▶学びを通じてー自主経営の下では、私たちは学習への強い意欲がわいてくる。そして学習の意味が、スキルにとどまらず、内面の発達や個人としての成長という領域まで広がる。

▶人材のよりよい活用を通じてー組織の中で出世するために、自分には合わないかもしれない管理職的な役割を押し付けられることはもはやない。各人の役割を(事前に定められた職務記述書ではなく)流動的に調整した方が、人材と役割はうまく適合する。

▶エゴを満たすために浪費されるエネルギーが減るー上司にゴマをすり、出世のためにライバルを押しのけ、縄張り争いをし、問題を起こさずに見栄えをよくするために精を出し、他人に責任を押し付ける、といったことのために費やされる時間やエネルギーが少なくて済む。

▶コンプライアンスのために費やされるエネルギーが減るー上司やスタッフ機能が持っていた無駄な統制メカニズムや報告義務をつくり出すような官僚的な能力は、自主経営になるとほぼ完全に不要になる。

▶ミーティングに費やされるエネルギーが減るーピラミッド型組織の場合、情報が指揮命令系統の中を円滑に上下するよう、情報を集めたり、まとめたり、浸透させたり、伝達するために、あらゆる階層でミーティングが必要となる。自主経営の組織形態ではほとんど不要になる。より明確に、しかも賢くエネルギーを活用する。

▶感じ取る力を磨くことを通じてー自主経営では、どの社員も周りの現実を直接感じ取って得た知識に基づいて行動する。情報は、組織階層の中で意思決定者に到達する前に失われたり、選り分けられたりしない。

▶優れた意思決定を通じてー助言プロセスを用いると、同僚からの助言を受けて、適切な人が適切な判断を下す。合理的な判断だけでなく、感情や直感、美意識といった経験で培われた見識によっても意思決定が下される。

▶数多くの意思決定を通じてー従来の組織では、意思決定がトップに集中しているため停滞が生じる。自主経営の組織構造では、数千もの判断がいつでも、どこでも下されている。

▶タイムリーな意思決定を通じてー「海のことは漁師に問え」のことわざではないが、漁師が魚を見つけても、組織の上部から釣りの許可が下りるまで待たなければならないとしたら、さかなはとっくに逃げてしまっているだろう。

▶存在目的に照らすことを通じてー組織自身が自らの方向性を実感している、つまり存在目的を持っているのだと従業員が理解できれば、彼らは存在目的に照らしながら意思決定をするため、進化に向かう風に後押しされながら航海できるようになるだろう。

第Ⅲ部第4章 成果 P482~

つまり、ここに挙げられた12個のエネルギーはオレンジ組織で社員が常に抑圧されているものです。

ティール組織では自然に無理なく開放できるのですが、オレンジ組織でもある程度の改善は可能です。但し、あくまでオレンジ組織なので無理が生じます。例えば、合理性を第一に考え、見える成果しか認めません。この点は最初から最後までオレンジのレンズで見る人達との大きなギャップとなります。

経営トップが「ティール型の世界観を養い、精神的な発達を遂げている」場合なら、組織オーナーに説明し、「ティール型の世界観を理解し受け入れる」状態にしておかないといけません。

そして、「オレンジ組織の中のティール組織的慣行」をどんな仕組みで誰が防波堤となり社員を守っていくかは、各組織で事情が違います。社員に趣旨を説明し、ホール・システム・アプローチ(大人数がとことん話し合える手法)で話し合うことが最短の方法と思います。

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