1.ティール組織、オレンジ組織共通で大切なものは?
前回の繰り返しになりますが、組織の完成度が高く居心地の良いオレンジ組織は、テイール組織に似てきます。そのポイント=重要ポイントは下記の通りです。
①人を大切にする
②基本的な行動ルール(価値観、倫理観)を決める
③実務上のルールを決める
④環境を整える
⑤牽引するリーダーが必須
前回のブログでいきなりこの5つの項目が出てきたのですが、なぜこの5つが重要かを説明しようと思います。まず今回は、会社員の悩みから今の組織(オレンジ組織)の問題点を導き出していきます。
2.今の会社員の悩みからオレンジ組織の問題を考える
「働きやすい組織」=「利益が上がる」ではありませんが、少なくとも社員が今の会社の何にストレスを感じているかを把握することが、組織を改善するヒントになります。
ネットで会社員の悩み、ストレスを調べてみると下記のようなランキングのデータがありました。
( https://allabout.co.jp/gm/gc/463251/ より抜粋)
会社員の悩み
第1位:人間関係 (32.8%)
第2位:負担に感じる業務内容と業務量(18.6%)
第3位:業務上のミスや事故(17.6%)
第4位:社内や取引先からの強要(10.1%)
第5位:職場の環境変化によるストレス(6.4%)
このデータから、社員にとってどんなことがストレスになっているかが分かってきます。
第5位の「職場環境の変化によるストレス」は、自分にとって悪い変化も良い変化も関係ありません。それまで慣れた環境で頭を使わずに行えたワークフローがリセットされることがストレスとなるのです。
第2,3,4位のストレスについては、個人ですぐに解決するすべはなく耐えるしかありません。上司同僚に応援を求めても彼らに余裕はなく、基本的に孤立無援の中でやれることをやるだけです。
第1位の人間関係によるストレスは、良い上司に当たるか否かで大きく変わります。気の合わない上司がいること自体が大きなストレスになるのですが、気の合う上司、頼りになる上司がいると他の問題についてもある程度は改善されます。
ただ、上司である中間管理職も一般社員と同じかそれ以上のストレスを抱えており、社員教育やメンタルケアで対応できる域をはるかに超えています。
次に、20代と30代の年代別の悩みランキングを検索してみました。
(https://life-and-mind.com/distress-ranking-206 より抜粋)
20代のよくある仕事の悩みランキングと解決のヒント
1位:仕事が覚えられない
2位:仕事のミスが多くて自信喪失
3位:空回りして迷惑をかけている
4位:先輩や上司との人間関係がうまくいかない
5位:思っていた仕事と違う・重要な仕事を任されない
6位:残業が多い
30代のよくある仕事の悩みランキングと解決のヒント
1位:部下の育成やマネジメントがうまくいかない
2位:同僚達より出世が遅くて焦る
3位:このままこの会社・仕事をつづけるべきか
4位:自分の本当にやりたいことが見つからない焦り
5位:給与が安い、評価が低い
6位:女性の代表的な悩み、結婚や出産したら今の仕事はどうするか
20代の悩みは、仕事を覚えるまでの不安な気持ちが感じられ、積極的に仕事を覚えたい、重要な仕事を任せて欲しいという前向きな感情と、ミスが怖い、プレッシャーがかかる仕事から逃げたいという矛盾した心境が感じ取れます。
無事20代を頑張って乗り切り管理職に昇進しても、今度は中間管理職としてのストレスが待っています。
30代の悩みは、上にも下にも横にも気を許せない四面楚歌の状況で、部下を指導育成しないといけないという辛い状況が伺えます。
このような精神状態や体調で、自由な発想で斬新なアイデアが湧き、創造的な仕事ができる人はよほどマイペースで自己中、サイコパスで他人の気持ちを顧みない人かもしれません。
真剣に部下の育成も行い、上司のゴマすりを良しとしない真面目な人が疲弊し、そんな人から辞めていく状況です。残った人は部下と距離を置き、淡々と指示を出し見える成果を出していく優等生の管理職たちばかりになります。
3.まとめ(原因の推測)
これらの悩みの原因を推測してみると、組織環境が下記のような状況になっているからだと推測されます。
一般社員にとっての悩みの原因
新しい仕事を覚えることへの不安、仕事をこなせるかの不安、難しい仕事へ挑戦させてもらえない不満、と矛盾した悩みを多くの人が抱えている状況です。
その原因は、下記のとおり現場でOJTできる環境がないからです。
実践的な仕事の仕方を教えてくれる環境がない。頑張れば達成できそうな適度な難易度の仕事が与えられない。自発的に新しいこと、難しいことに挑戦できる環境/挑戦したときにサポートしてくれる環境がない。
もう一つ、組織内マネジメントがプアでやる気を削がれることも原因になります。
頑張っていた仕事を別の(もっと出来る社員)に引き継ぐよう上司orリーダーに指示される。→これをやられると途端にやる気が無くなります。手取り足取り指導する余裕がないので仕方ないと分かっていても辛いものです。優秀な人が常に第一線でおいしい仕事をこなし、ますます経験を積めて実力差が開いていくのです。
技術の変化が早すぎて独自のノウハウ醸成ができない、納期短縮/人員削減/コスト削減で教える時間的余裕や人的リソースがない、下請け会社に丸投げでもはやプロパー社員にノウハウの蓄積はなく丸投げのマネジメントしかない、等様々な要因はありますが、外部から優秀な人材を引き抜くこと以外にも出来ることはあります。
管理職にとっての悩みの原因
上司、部下、ライバルと八方塞がりの状況で、さらにプレイングマネージャーとして成果を上げ、部下の育成も行うことを強いられ、疲弊している。会社を辞めたいが家族との生活を維持するために辛抱している状況。部下の面倒を見ようとする真面目な人はさらに大きなダメージを受けがちです。
原因は、「中間管理職の負荷が重すぎる。多くの業務が集中しすぎる」ことです。
多忙なため、部下の育成より、自分の手足となって目先の仕事を片付けてくれた方が効率的だと判断し、部下には限定的な情報しか与えず同じ仕事を担当させる。短期成果を出すにはこの方法が効果的ですが、人は育ちません。
しかし、多くの管理職はオレンジ組織(ピラミッド組織)の権力の虜になってしまうのです。つまり権力で支配するのです。本音で部下の話に耳を傾け、様々な問題への対応を一緒に考えていっても、元々の仕事量が多すぎ、問題が山積し、順繰りに下請に押し付ける構図になっています。個人で理想を追求しても無理があります。そこで、やはり仮面を被るしかないのです。ある程度距離を置いて、必要最低限の指示だけすると、部下はしぶしぶ動き出します。期限を定めた見える成果を出す場合はこのマネジメントスタイルの方が効率的で確実です。特にルーチン業務を短時間でこなす仕事では中途半端な民主的マネジメントより管理職の負担が軽減する現実的なスタイルかもしれません。
ただ、中長期的に見ると、部下の士気や実力が落ちる懸念があります。また、納期や成果ばかりを追求することになり、不正が行われる可能性も否定できません。際限のない効率化でぜい肉だけでなく筋肉も落とし、弱体化している状態です。
オレンジ組織はもう限界
では最も進んだ組織環境であるティール組織ではこれらの問題はどう解決されているのでしょうか?どんな工夫がされているのかを考えた上で、オレンジ組織に導入するにはどうすればいいかを考えてみます。
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