組織改革に大切なことは、「思考特性(メンタルモデル)の棚卸し」と「システム思考」

 

学習が進んだチームは、周囲からまるで新興宗教に洗脳されたように見える!

全社改革リーダーになって3年目、1年間の布教活動の甲斐あって賛同者が増え、集まった数名の役員と管理職50人で事業戦略を1年かけて作り上げました。

それは私が以前勤めていた企業で、事業部別だった複数の商品企画部門を一つに統合したときのことです。活動メンバーは、何か新しいことが出来るとワクワクしていました。新しく始めた活動はまだ手探りの状態だけど、このままがんばっていけば成果につながると確信していました。

でも、それを見た古参役員達は、「プロジェクトが上滑りしている。作った事業戦略や情報は既知のことばかりだ。1年間遊んでいたのか。」と言い、改革プロジェクトは終結しました。役員には活動の成果が認識できなかっただけでなく、リーダーである私に「お前は人を洗脳する」と非難しました。メンバーの自信に満ちた表情が奇異に映ったのです。

その後、私は商品企画から研修部門に異動となり、そこでの水面下の活動も止められ、ショムニ的部署へ異動となりました。

実はみんな1人1人違う「思い込み」で判断して生活している!

新しいことを始める時は、成果が表に現れるまでに時間がかかります。何か組織的に行動を起こす前には、自分達が正しい方向に進んでいると認識するために、何が「成功の兆しとなる事象か」を、認識合わせしておく必要があります。

つまり、その会社特有の、もしくは1人ひとりの思考特性(=思い込み、メンタルモデル)の棚卸し、方向付けをする、ということです。

「そんなこと、当たり前だろ!」、

「そんな常識的なことも分からないのか!」、

「みんな、それを当たり前と思ってやっているじゃないか!」

と新人に言ったことはありませんか?

これからやろうとすることは、全く新しいことなんです。みんな、一つ一つ言葉の意味を確認しながら、進まないといけないんです。そうして少しずつ、活動メンバーのベクトルは揃います。

メンタルモデルを理解し、システム思考ができるようになると本質が見えてくる!

さらに、問題が見えている部分だけを表層的に捉えるのではなく、全体像を様々な要因のつながりと理解し、各自の思考特性をより明らかにし、問題の対応策ばかりに注目せず、じっくり自分達のビジョンに沿った分析をしていきます。

一旦この広く深い思考に馴染むと、もう過去の浅い思考には戻れなくなります。学習が進むほど、世界が全く違って見えてきます。そして、相手の思考が見えてきます!立体的に分かってきます。矛盾や欠落部分が分かります。メンバー間での意見のすりあわせがすごくやり易くなります。

それは他の社員からは全く価値観の違うグループ、あたかも新興宗教に洗脳されたように見えます。私が犯した過去の失敗は、私が一部のメンバーだけに学習を行い、集中させすぎたことが原因でした。転職後、様々な実践で試行錯誤し、どうすれば組織的に成果が出るかが分かってきました。

社員の前で「改革により素晴らしい明日が来て、現場の苦しみから救ってくれる」的プレゼンは逆効果なので止め、社員が動きやすい環境の改善を地道にしていくなどの、現実的な進め方を実践してきました。

どんな状況でも最も重要なのは、ノウハウやスキルではなく、思考特性(メンタルモデル)の棚卸しと、柔軟な発想力に応用できるシステム思考による、組織メンバー間の一体感の醸成でした。

仕事をするのに万能&最強の能力になる!

これらの能力は、

商品企画、

製品開発、

新規プロジェクト立ち上げ、

トラブルシューティング、

顧客対応、

等に非常に効果的なビジネススキルです。

表層の課題に囚われず、真の解決策を創り出し、変化を恐れず前に進む推進力になります。

また、ビジネスライクに互いの気持ちを察しながらコミュニケーションを取る能力は、部門内外、社内外に留まらず、異文化の連携を必要とされる環境においても、大いに有効です。

職場の行動指針や人材育成の必須コンピテンシーに応用されることをお勧めします

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